ART / アート作品として設計された宿泊施設
6ishikiは施設からコンセプト、体験の設計に及ぶまで、オーナーであるアーティスト・田中英行(about Eikoh Tanaka)の作品として六根清浄や六道などの仏教的な思想からインスパイアされたコンセプトを主軸にプランニングされています。
その中でも各部屋の作品群は特に印象的なものが展示されており、 太陽光を用いたドローイングのような写真作品や、 日本の伝統的なモチーフをコラージュした作品など、 自然崇拝などプリミティブな世界観から着想された作品を展示しています。
1階にはシルバーで統一された和室があり、部屋の中心に据えられた作品は6ishikiのコンセプトから想起された六角形のキャンバスに描かれた平面作品です。これは解体時に収集された土壁の土、水晶の粉末などを素材に用いて抽象的な霧の風景を描いており、瞑想的な空間をより一層引き立てます。
| Mu-ishiki| 土、水晶、アクリル、キャンバス、木材 | W1200×H1000mm |
2階寝室に設置された金屏風の平面作品は、シルクスクリーンの技法によって真鍮版に刷られており、画面上で展開される紋様は能楽で用いられる着物の柄から構成されています。これは異界または黄泉の国より現れる演者が纏う着物に使用される柄のみが使用されており、寝室で眠る時間に訪れる深淵な世界を表現しています。
| yu-gen | 真鍮、シルクスクリーン | W1600×H600mm |
オリジナルのアイアンチェア、六角棒の手摺、ペイントし研ぎ出された紙の壁、冬至日の出の方向を向く庭のオブジェ、檜で作り込まれたサウナなど、全てにおいて6ishikiのコンセプトを軸に、こだわりを持って制作された空間です。設置されているアート作品以外にもさまざまな体験を通じて楽しんでいただけたら幸いです。
新しい価値創造の場として
6ishikiは、オーナーであるアーティスト・田中英行の曽祖父が遺し、 自身の生家でもある築100年の古民家をリノベーションした宿です。田中家の先祖は600年前からこの地に住んでいた記録が残されています。
この施設はカフェも併設し、アートやクリエイティブ事業を中心に展開する田中のソーシャルプラクティスとして事業はスタートしました。その後も関わるメンバーも増えながら、日々地域と向き合い地方創生のプラットフォームとして、新しい価値を創造する場になることを目指しています。
築100年の古民家を100年先の未来へ
6ishikiとno-muの周辺エリアは地元の整備事業の影響を受け、周囲の古民家が次々と取り壊されていく中で奇跡的に残されました。この家から100年先の未来を考え、持続可能な古民家として既存のカテゴリーにとらわれないボーダレスなプロジェクトを今後も展開していきます。